髭を剃るとき、洗顔料の泡をそのまま使っていました。間に合わせのつもりではありません。手元の洗顔料の箱に、シェービングのときは泡の上から剃るように書いてあったからです。メーカーが想定している使い方なら問題ないだろう、と思っていました。
ただ、剃ったあとにヒリつきます。肌もつっぱります。これを減らしたくて、シェービング専用のクリームを買いました。
先に言っておくと、洗顔料で剃るのは間違いではありません。私にとっては代用のつもりでしたが、洗顔料で剃るのが普通という人もいると思います。 どちらにしても「やめろ」という話ではありません。 洗顔料で足りるのか、シェービングクリームを買ったほうがいいのか。そこで迷っている人が自分で判断できるように、実際に試した記録をまとめました。
同じカミソリのまま、塗るものだけを入れ替えて、7回分の記録を取りました。
先に結論だけ言うと、代用でも剃れます。ただし差はありました。 差が出たのは「剃ったあとのヒリつき」で、いちばん良かったのはシェービングクリームでした。洗顔料の中にも向き不向きがありました。
何を比べたか
カミソリは最初から最後まで同じものを使い、塗るものだけを替えました。 HENSON AL13という一枚刃です。刃も途中で交換していません。
| 塗ったもの | 種類 | 回数 |
|---|---|---|
| メンズビオレ ザフェイス | 洗顔料 | 2回 |
| AMBIQUE フェイスフォーム(アンビーク) | 洗顔料 | 2回 |
| Proraso センシティブ | シェービング専用 | 3回 |
このほかにFANCLの泥ジェル(クレイ洗顔)も試しています。ただし試した時期が早く、条件も違うので、7回には数えていません。それでもはっきり分かったことがあったので、あとで触れます。
剃る場所も途中で固定しました。 これには理由があります。
最初、アンビークは風呂の中で、ビオレは風呂の外で試していました。この2つを同じ条件で比べたことが一度もありませんでした。 風呂の中は蒸気で髭が柔らかくなるので、差が出ても「洗顔のおかげ」なのか「蒸気のおかげ」なのか分かりません。
そこで、剃る場所を風呂の外(洗面所)に揃えてから、あらためて比べました。
これは1人が試した記録です。肌の状態も髭の濃さも人によって違うので、そのつもりで読んでもらえたらと思います。
メンズビオレ ザフェイスで剃ったとき
2回とも、剃ったあとにヒリつきました。 1回目より2回目のほうがはっきりしていて、痛み方も「乾いた感じ」から「ダメージがある感じ」に変わりました。
気になっていたのは、ヒリつきだけではありません。剃ったあとに肌がつっぱります。シェービングクリームを買おうと思ったのは、この2つが重なったからです。
それでも、剃れないわけではありません。ビオレのボトルには「シェービングにも使えます」とあります。使い方の欄にも「ヒゲを剃る時はそのまま剃る。(泡がたりない時は付け足す)」と書かれていて、剃ることは想定された使い方です。想定された使い方で、それでも私の肌はヒリついた——という記録です。
洗顔料なら何でもいい、ではありませんでした
FANCLの泥ジェルです。洗顔料同士で比べたとき、いちばん剃りにくかったのがこれでした。

泡と違って滑りが足りません。肌が「きゅっ」となって刃が引っかかる感じがあります。
泥ジェルが悪い洗顔料という話ではありません。毛穴や皮脂を落とす目的なら優秀です。髭を剃るのに向いていなかった、それだけです。
アンビークに替えたとき
このころ、別の洗顔料も試していました。せっかく2本あるので、こちらでも髭を剃る際に使ってみました。
2回とも、ヒリつきは弱くなりました。 ビオレのときと比べて、肌へのダメージが明らかに少なく、ヒリヒリ感もまったく違います。一方で、剃るときの抵抗はビオレと同じでした。
滑りが同じなのに、ヒリつきだけ違う。 これが自分でも意外でした。差を作っているのは滑りではない、ということになります。
ビオレのあとにアンビークを使い、そのあともう一度ビオレを使ってみました。刃も剃る場所も剃り方も同じで、変えたのは塗るものだけ。それでも、アンビークの方が良かったです。
Proraso センシティブに替えたとき
3回とも、ヒリつきはほとんどありませんでした。 「これまで使ってきた中でいちばん後味がいい」というのが1回目の感想で、2回目も3回目も評価は変わりません。
つっぱりもありません。ビオレのときに気になっていた2つは、どちらもなくなりました。
選ぶときに1つだけ気をつけたことがあります。 このメーカーには清涼感のあるタイプ(メントール入り)もあって、そちらのほうが安く手に入りました。私はそれを買わずに、敏感肌向けのほうを買いました。
メントールが入っていると、ヒリヒリしないのがクリームの中身のおかげなのか、メントールで冷えて感じにくいだけなのか、分からなくなるからです。
箱の裏を並べてみた
3つの成分表示を見比べました。分からなかったことと、分かったことが、はっきり分かれました。

ヒリつきの理由
疑っていたのは、剃る前に皮脂をどれだけ落としているかでした。落としすぎれば、守りが薄くなった肌に刃を当てることになります。ビオレのほうが強く落としているのではないか、と考えていました。
ところが、逆でした。
皮脂や汚れを落とす成分は、成分表の上位に並ぶものがビオレとアンビークでほぼ同じだったのです。同じものが働いているなら、そこで差はつきません。そのうえアンビークにはカリ石ケン素地(石けん)が入っています。石けんは、肌への刺激も強いほうだと言われています。
つまり調べたことをそのまま当てはめると、ヒリついたのはアンビークのほうになるはずでした。実際は逆です。
違いが無いわけではありません。エタノールとPGは、ビオレにだけ入っていました(アンビークは箱の「9つの無添加」に両方明記、Prorasoにも入っていません)。ヒリつきが軽かったアンビークとProrasoには、どちらも入っていない——という形にはなります。
この2つは、調べると肌の守りを弱める方向で報告されている成分でした。エタノールは角層のすきまを埋めている脂を溶かし出すこと、PGはその脂の並びを乱してほかの成分を通しやすくすることが知られています。カミソリは角層を削ります。その削れたところに、これらを含んだ泡が触れる。それがヒリつきにつながっている——という筋は通ります。
ただ、成分表示は多い順に並んでいるだけで、どれだけ入っているかは書かれていません。 ビオレのエタノールは後ろのほうなので、少ない可能性もあります。本当に確かめるには、エタノールだけが違うものを比べる必要があります。
成分表からヒリつきの理由を出すのは、うまくいきませんでした。 「優しそうだから肌に良い」も「石けんが入っているから厳しい」も、私の場合は当たりませんでした。
つっぱりの理由
こちらは成分を調べるまでもありませんでした。Prorasoは顔を洗うものではないからです。
ビオレとアンビークは洗顔料で、皮脂を落とすために作られています。Prorasoは剃るための道具で、皮脂を落とす役目を持っていません。つっぱらないのは明白でした。
Prorasoは滑り具合も違った
Prorasoの成分表示は、上から「水、ステアリン酸、ヤシ油、水酸化K」の順です。調べてみると、この並びがそのままシェービングソープの作り方でした。
ステアリン酸は、石けんの材料になる脂肪です。 これを水酸化Kと反応させると石けんになります。この作り方でできた泡は、水を抱えたまま消えずに残ります。 そして、その水がそのまま滑りになります。
洗顔料にも泡は立ちますが、水を抱えて残る泡ではありません。
同じ「泡」でも、作っている目的が違いました。 洗顔料の泡は汚れを落とすための泡、シェービングクリームの泡は剃るための泡です。
使ってみて初めて気づいたこと
ここから先は、最初に評価すると決めていた項目ではありません。 途中で気づいたことなので、ここまでの結果ほどあてになりません。
Prorasoのとき、剃る回数がいちばん少なくて済みました。 同じところを何度も往復しなくてよかった。
もしこれが本当なら、刃が肌に当たる回数そのものが減っていることになります。ヒリつきが少ない理由としては素直です。
ただ、成分のほうかもしれません。 Prorasoには緑茶(チャ葉エキス)とオートミールが入っています。どちらも肌の炎症をやわらげる方向で研究されている成分で、オートミールについては、含まれるポリフェノールが炎症を示す物質を減らしたという報告があります。
これは剃る回数とは別の道すじで、ヒリつきの少なさにつながりえます。 刃の当たる回数が減ったから軽かったのか、成分が効いていたのか、どちらでも説明がついてしまいます。
滑りのおかげか、成分のおかげか。これは分けられませんでした。 ビオレとアンビークのときは、剃るときの抵抗が同じだったので「滑り以外の何か」に絞れました。Prorasoは滑りも中身も両方が違うので、その手が使えません。
刃が詰まった話
Prorasoに替えた最初の1回で、刃にクリームが詰まりました。 洗い流しても残りが取れず、少し分解して水洗いすることになりました。
ビオレとアンビークでは一度も起きていません。HENSONとProrasoの組み合わせで起きました。
ここで「HENSONにProrasoは合わないのかもしれない」と考えました。でも、間違いでした。
次に使うとき、先に髭全体を水で濡らしてからProrasoを塗ってみたところ、詰まりませんでした。 その次も同じようにして、やはり詰まりませんでした。
そのあとで箱と公式サイトを確認したら、こう書いてありました。
Use a dime-size amount of shave cream, add water to work up a rich lather. Apply to damp skin.
(少量を取り、水を加えて泡立てる。濡れた肌に塗る。)
濡らすのは、最初から公式の手順でした。 自分が読まずに使っていただけ(笑)
箱に日本語の使い方が書いていなかった
言い訳のようになりますが、ひとつだけ事実として書きます。
この商品の箱に、日本語の使用方法はありません。 日本語で書かれているのは成分表示と注意書きだけで、使い方は英語・イタリア語・フランス語・ドイツ語・スペイン語で書かれています。
輸入品は、成分表示だけ日本語で、使い方は外国語ということがあります。 読めない言語でも、そこに手順が書いてあると分かっているだけで違いました。私は箱を裏返しもせず、道具のせいにしかけました。
まとめ
代用はできます。 ビオレでもアンビークでも剃れました。剃れないから買い替えろ、という話ではありません。
そのうえで、差はありました。 剃ったあとのヒリつきは、ビオレ → アンビーク → Proraso の順で軽くなりました。同じカミソリ・同じ刃で、変えたのは塗るものだけです。
滑りのほうは、理由がはっきりしました。 Prorasoの泡は水を抱えて残るように作られていて、その水が滑りになります。洗顔料の泡は、汚れを落とすための泡でした。 泥ジェルで剃りにくかったのも、ここです。
ヒリつきの理由は、最後まで分かりませんでした。 成分表を見比べても、答えは出ませんでした。
代用で足りている人は、そのままで問題ないと思います。剃ったあとのヒリつきが気になっている人は、塗るものを替えてみる価値があります。 カミソリを買い替えるより先に、塗るものから試せます。
同じところで迷っている人の材料になれば十分です。
ちなみに、やっと自分に合うものを見つけたと思った矢先に刃を詰まらせて、けっこう焦りました(笑)
使ったもの
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参考にした主な情報源
- 石けんと合成洗剤の刺激の違い:CLEANSERS AND THEIR ROLE IN VARIOUS DERMATOLOGICAL DISORDERS/Cleansing Formulations That Respect Skin Barrier Integrity
- エタノールが角層の脂に与える影響:Molecular mechanism of the skin permeation enhancing effect of ethanol
- PGが角層の脂の並びに与える影響:Mechanisms of the Drug Penetration Enhancer Propylene Glycol Interacting with Skin Lipid Membranes
- オートミールの抗炎症作用:Anti-inflammatory activities of colloidal oatmeal (Avena sativa)
- 緑茶ポリフェノールの皮膚への作用:Green Tea and Other Tea Polyphenols
- シェービングクリームの泡と滑りの仕組み:LabXchange「How Do Shaving Creams Work?」
- Proraso 公式の使用方法:Proraso Shaving Cream – Sensitive Skin
