化粧品アプリなのに、”商品リスト”を作らなかった ── “役割”で組んだら、自分のケアの穴まで見えた(開発記④)

🛠 アプリ開発記

前回、シフト勤務という壁と、それをアプリでどう越えたかの”さわり”を書きました。そのとき、「アプリの設計の詳しい話は、この連載の続きで」と約束しています。その第一歩が、今回の話です。

自分のスキンケア管理アプリを作るとき、私には早い段階でひとつの分かれ道がありました。持っている化粧品を、どうやってアプリに覚えさせるか

ふつうに考えれば、「ANUAのレチノール」「OCHERのオールインワン」……と、商品の名前をひとつずつ登録していくやり方です。でも私は、それをやりませんでした。代わりに選んだのが、商品ではなく”役割”で登録するというやり方です。

地味な判断に聞こえるかもしれません。でもこの選び方ひとつで、アプリは“壊れにくく”なり、しかも思わぬおまけまでついてきました ── 自分のスキンケアの”抜け穴”が、向こうから見えてきたんです。

化粧品は無限に増える。でも”役割”は10個くらいしかない

なぜ商品名でひとつずつ登録するのを避けたのか。理由はシンプルで、化粧品は、無限に増えていくからです。

新しい商品は毎年いくらでも出ます。私自身はそう何度も乗り換えるタイプではありませんが、それでも合わずに変えたものはありますし、世の中に出てくる商品の数は増える一方です。もし「商品の名前」を台帳に並べる作りにすると、新しいものを買うたびに台帳を増やし続けないといけない。終わりがありません。いつか必ず、登録されていない商品が出てきて、アプリがお手上げになる。

そこで発想を変えました。商品は無限でも、スキンケアでの”役割”の数は決まっている。汚れを「洗う」、うるおいで「守る」、肌の調子を「整える」、シミ・しわなどに「攻める」……数えてみると、だいたい10種類くらいに収まります。

例えるなら、図書館の本棚です。本(=商品)は毎年どんどん増えますが、「小説」「歴史」「料理」といったジャンルの棚(=役割)は、そんなに増えません。新刊が出ても、新しい棚を作るのではなく、既存のどれかの棚に入れるだけ。これなら棚はずっと使えます。

アプリも同じにしました。商品を名前で覚えるのではなく、「この子は”守る”係」「あの子は”攻める”係」と、役割の棚に入れていく。こうしておけば、新しい化粧品を買っても、棚のどれかに入れるだけで済む。アプリの仕組みそのものは、ずっと壊れません。(このあたりは「分類の決め方が、仕組みの寿命を決める」という、地味だけど大事な話です。)

この”役割の地図”は、ブログでも”見える化”している

ここまで読んで、「役割で分ける、ってどういうこと?」と思った方へ ── 実はこの”役割で見る”考え方、このブログでも記事にしています

ひとつは 成分は”役割”で見れば数種類にまとまる、という話。もうひとつは 化粧品の裏の成分表を”役割”で読む話。商品名や成分名は星の数ほどあるけれど、「で、これは何をしてくれる子なの?」という”役割”で見れば、ぐっと数が絞れる ── そういう”地図”です。(一覧は 役割マップのページ にもまとめてあります。)

そして大事なのが順番です。この地図のもとは、アプリのために考えた”役割の分け方”でした。それを「読者にも役立ちそうだ」と思って、ブログで”地図”の形にして紹介したんです。だから、アプリの設計図とブログの地図がぴったり同じなのは、当たり前。順番でいうと、別々に作って偶然そろったのではなく、ひとつの「役割で考える」を、アプリでは”仕組み”に、ブログでは”読みもの”にした ── 同じ一本の背骨から、二つの形が生えているだけなんです。

その地図が、自分のケアの”抜け穴”を教えてくれた

そして、いちばん意外だったのはここからです。

自分のアプリに、手持ちの化粧品を役割の棚へ順に入れていく。「洗う」はある、「守る」もある、「攻める」のレチノールもある……と並べていったとき、ひとつだけ、ぽっかり空いている棚に気づきました。「抗酸化」──ざっくり言うと、紫外線やストレスで肌が受けるダメージを”さびつき”に例えて、それを抑える方向で守る役割です。その代表格がビタミンCとされています。

並べてみるまで、自分では気づいていませんでした。守りも、整えも、攻めも一通りやっているつもりで、”さびつきを抑える”役割だけが、すっぽり抜けていた。商品を名前で眺めていたら、たぶん一生気づかなかった。役割の地図に当てはめたからこそ、空白がひと目で見えたんです。設計図として描いた地図が、ぐるっと回って自分のケアの抜け穴を、向こうから教えてくれた

そこで取り入れてみたのが、ビタミンCの美容液(私はオバジC20を朝に使っています)。朝、化粧水のあと、いつものケアに一手間だけ。使ってみての実感は ── 毛穴は相変わらず目立つけれど、ハリとツヤは少し出てきた気がする。とはいえ、これがビタミンCのおかげなのか、季節や他のケアも含めた結果なのかは、自分でも切り分けられません。※効果や肌に合うかは個人差があります。”本当のところ”はもう少し続けてみないと分からない、というのが正直なところ。ビタミンCは朝向きとされますが、朝に塗った日は日焼け止めが必須。高めの濃度は刺激が出ることもあるので、少量から。使ってみての経過は ビタミンCの記事 のほうで書いていきます。

ただ、この章で本当に言いたいのは効果のことより、「空いていた役割が、ちゃんと埋まった」という納得感のほうです。

アプリのほうにも、この「ビタミンC(抗酸化)」の棚をあとから足しました。地図に穴を見つけて、現実のケアを足して、アプリにも反映する ── ブログとアプリと、自分の毎日のケアが、同じ”役割”という一本の線でつながった瞬間でした。

アプリの登録画面。手持ちの化粧品が商品名の羅列ではなく、『洗う』『守る』『整える』『攻める』『抗酸化(ビタミンC)』といった「役割」ごとに分かれて並んでいる(ダミーデータ)
商品名ではなく”役割”で並ぶ。空いていた「抗酸化(ビタミンC)」の棚も、あとから埋まった。(画面はダミーデータ)

いつかは、成分表を”撮るだけ”にしたい

とはいえ、手持ちの化粧品を一つずつ「これは何の役割か」と当てはめていくのは、正直ちょっと手間です。だからいつかやりたいと思っているのが、化粧品の裏の成分表を写真で撮るだけで、アプリが役割を判別してくれる仕組みです。レシートを撮ると家計簿に取り込まれる、あんなイメージです。

ただ、これには限界もあります。代表的な成分が成分表に分かりやすく載っていればいいのですが、独自の複合成分が主役で、”役割の手がかり”が読み取りにくい化粧品もある。そういうときは結局、「その商品が何をうたっているか(守り/ハリ/うるおい…)」を人の目で読むしかありません。

完全に機械任せにはできない。でも、それでいいと思っています。大半は自動で楽をして、迷うところだけ自分で確かめる ── このくらいの距離感が、たぶんいちばん長く使えます。

まとめ ── 商品で作れば追いかけ続ける、役割で作れば”地図”になる

スキンケア管理アプリを”役割”で設計した話を、整理するとこうなります。

  • 商品は無限に増える。名前で登録すると終わりがない ── だから“役割”(洗う・守る・整える・攻める…約10種)で設計した。新商品もどれかの棚に入るだけ=仕組みが壊れない
  • その”役割の地図”は、ブログでも”見える化”した考え方と同じ ── もとはアプリのために考えた分類を、アプリでは”仕組み”、ブログでは”読みもの”にしただけ。同じ一本の背骨。
  • 地図に手持ちを当てはめたら、「抗酸化(ビタミンC)」の棚が空いていた=自分のケアの抜け穴が、地図のほうから見えた。

商品の名前を追いかける作り方なら、私はたぶん今も新商品が出るたびに登録欄を足していたはずです。でも“役割”で組んだら、それは台帳ではなく”地図”になった。地図は、人に道を示すだけでなく、自分の足りないところまで教えてくれる。これは、作ってみるまで分からなかった、いちばんのおまけでした。

※このアプリは今のところ、私一人が自分用に使っている段階のものです。スキンケアの内容や成分の効果には個人差があり、刺激や合う合わないも人それぞれなので、不安があるときは皮膚科などの専門家に相談してください。


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